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クリムト;《ヌーダ・ヴェリタス》
《 ヌーダ・ヴェリタス 》 1899年 グスタフ・クリムト
( Nuda Veritas )
クリムトが高らかに挙げた、反乱の狼煙。
Oesterreichisches Theatermuseum, Vienna, Austria. 蔵 252.0cm×56.2cm )

 
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またもや登場のクリムトの縦長です。
クリムトの縦長の絵は、ほぼ例外なく等身大に描かれていて、それはやはり、姿見・・・
ユディット Ι 》、《 アダムとイブ 》 と同じようにクリムトは、この絵を観る者に、
そこに観る者の自分自身の姿をダブらせて観ることを期待しているのでしょうか・・・

しかしクリムトの縦長の絵は、壁紙に加工しにくい絵なんですよね・・・
そこでちょっと遊び心を持ってデザインしてみましたが、慣れないことは、なかなか上手く出来ないものです (^_^;)
この壁紙を見て気分を害された方・・・ご容赦を・・・ (^_^;)


1890年代の後半、クリムトは自身の目指す新しい芸術に進むための芸術家団体の
設立に動いていました。
ウィーン分離派 ( オーストリア造形芸術家連盟 ) と呼ばれるその団体は、
1897年4月3日産声を上げ、クリムトはその初代総裁に就任したのです。

それまでウィーンで唯一の芸術家団体で、芸術権威の総元締めであった
ウィーン芸術家協会は、若い芸術家たちの反乱にどう対応したのでしょう。

クリムトはその頃、これも学府の権威・ウィーン大学の大講堂の天井画に取り組んでいました。
若い頃からフランツ・ヨーゼフ皇帝の宮殿装飾を引き受けるなど、権威の寵児として
高い評価を得ていたクリムトには、慣れた仕事だったのではないでしょうか。
しかしこの仕事は、難航します。
度重なる評価委員会や会議への呼び出しで、仕事はたびたび中断し、挙句の果てには、
クリムトの描こうとする天井画は、公的な査問を受けることになり、文化政策上の
権力闘争の道具として利用されるまでになっていったのです。

あるいはこれも、権威からのしっぺ返しだったのかも知れません。

以後、クリムトは権威に近づくことを避けますが、それは逆に、彼らしい芸術、
彼の思う通りの芸術を追求する自由が与えられたと言うことでもありました。

1898年の春に開かれたウィーン分離派創設展は、クリムトのポスターで告知されました。
横向きの戦う女神、パラス・アテナの立ち姿、
バックには、パラス・アテナの目の前で、ギリシャ神話の若き英雄・テーセウスが
古きものの象徴である雄牛ミノタウロスを剣で刺し貫こうとしている・・・

そして同じ年に開かれた第二回分離派展に、クリムトはパラス・アテナの油彩画を出品し、
彼の確固たる意思を、再び表明する。
そしてさらに翌1899年の分離派展で、この 《 ヌーダ・ヴェリタス 》 が公開されるのです。

姿見の鏡のように縦長の画面に描かれた、等身大のエジプトの女神 『 イシス 』 が、
その右手に真理を照らす鏡を持ち、まっすぐに立って正面を見据えています。
髪を飾るフランス菊と足元の蛇が、この女神の深淵からの出現を強調しているようです。
裸像の上部1/3の背景は、紫色と曲線を描く金色の蔓で装飾されています。
虚飾を表す水色のヴェールは脱ぎ捨てられ、波打って地に落ちて、
大罪と嫉妬の象徴である蛇とともに、彼女の足に絡み付いています。
しかしこの不吉な蛇とヴェールも女神には無力で、彼女の勝利は確かなことのように思えます。
そのことは、女神の足元に芽生えている生命力豊かなタンポポが証明します。
タンポポは風の一吹きで、すばやくその種子を広範囲にばら撒くのです。

汝、真実を照らす鏡を持ち、立ち上がれ。
欺瞞の野にありても臆することなく、虚飾の衣を脱ぎ捨てよ。
美しき花の種子は、今まさに野に散らんとす。

《 ヌーダ・ヴェリタス 》 ( 裸の真実 ) と名付けられたこの絵は、一連のパラス・アテナとともに、
古い権威への痛烈な挑戦状との意味合いを持っていたのでしょう。

しかしクリムトは、この後しばらく、苦しい戦いを強いられます。
権威からの離反は、一般からの彼の芸術の評価を一変させ、
この 《 ヌーダ・ヴェリタス 》 においても痛烈な批判が噴出するのです。
エジプトの女神を描いたこと、その女神が女神らしく描かれるのではなく、
まるで生身の女性のように描かれ、あからさまに官能的なものを暴き立てている・・・

もちろんクリムトは、あらゆる難癖を覚悟していました。
《 ヌーダ・ヴェリタス 》 の絵の上部には、シラーの以下の格言が引用されています。
「 汝、自らの行為と芸術作品によってすべての人に好まれずとも、少数の者は満足させよ。
多数の者に好まれることは、良くないことである 」

この格言の通り、一方で彼を支持する声も聞こえて来て、彼は少数の支持者のために描き続けることになります。

ヘヴェジは言います。
「 十分に教育を受けたが故に、つまみ喰いが好きで、えり好みばかりしている我々の時代が
そこに見えるけれど、やっぱり古典古代以前とつながりがあるのは、崇高さという性格だ。
人は一目見ただけで、これが他のもの、つまり過去のものとも違っていて、
ようやく今日になって描かれた、いや明日描かれていることがわかるだろう 」

そしてこの絵は、ウィーン大学天井画の混乱以来、文学的な観点からクリムトを擁護してきた作家、
ヘルマン・バールによって買い取られます。
そしてバールのオフィスに、まるで姿見のごとくに飾られたこの絵は、彼の創作活動を見守ることになるのです。
 
参考壁紙  《 ベートーヴェン・フリーズ
ピアノを弾くシューベルト
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